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2014/7/23

経済産業情報

VWがフィアット買収検討か、クライスラー取得で北米不振解消のメリット

この記事の要約

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が伊同業フィアットの買収を検討しているとの観測が浮上している。17日付の独経済誌『マネージャー・マガチン』が情報源を明らかにせずオンライン版で報じたもので、低迷する北米事業を強化す […]

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が伊同業フィアットの買収を検討しているとの観測が浮上している。17日付の独経済誌『マネージャー・マガチン』が情報源を明らかにせずオンライン版で報じたもので、低迷する北米事業を強化することが狙いという。両社は報道内容を否定している。

フィアットは1月にビッグスリーの一角であるクライスラーを買収し、北米事業を一気に強化した。一方、VWは事業戦略上重要な北米で販売不振に陥っており、業績は当面、拡大しない見通しだ。このためフィアットを買収し、クライスラーの販売網や人気SUVモデルを獲得し、北米事業を一気に強化したい考えという。

同誌によると、フィアットの筆頭株主であるエルカーン、アニェッリ両家は収益力の低い自動車事業からほぼ全面的に撤退し、手元には高級スポーツ車ブランドのフェラーリのみを残したい考え。すでにVWのピエヒ監査役会長が両家と話し合いを行っているという。

ただ、VWは今後、完全子会社化したスウェーデンのトラックメーカー、スカニアの統合に全力を投じなければならず、新たな巨大買収を行うゆとりはないとみられる。また、フィアットを買収すると、欧州市場でダントツ1位のVWのシェア(2013年=25%)が一段と高まり30%を超えるため、独禁当局が難色を示す可能性が高い。

VWをめぐっては、米トラック大手パッカー、ナビスターの買収を狙っているとの観測もある。