欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、海運大手の独ハパグロイドとチリのコンパニア・スド・アメリカーナ・デ・バポレス(CSAV)の合併計画を承認したと発表した。CSAVが定期コンテナ船運航のコンソーシアムから脱退することが条件となる。
両社は4月に合併で合意していた。CSAVのコンテナ船部門をハパグロイドが吸収する形となる。新会社の社名もハパグロイドのままで、同社は引き続き独ハンブルクに本社を置く。CSAVは見返りに、新生ハパグロイドの株式30%を握る。
合併で誕生する新会社は、コンテナ輸送でデンマークのマースク、スイスのMSC、仏CMA CGMに次ぐ世界4位に浮上する。このため欧州委は、合併が海運業界の健全な競争を阻害する恐れがあるとして、慎重に審査を行っていた。
欧州委が問題視したのは、両社が北欧とカリブ海諸国、南米を結ぶ定期コンテナ船事業で、それぞれ他社とコンソーシアムを組んでいる点。合併によってコンソーシアム間のつながりができることで、反競争的な効果がもたらされると懸念していた。
これに対して両社は、CSAVが加わる北欧~カリブ海航路のコンソーシアム「ユーロアンデス」、北欧~南米西海岸の同「エクアドル・エクスプレス」からの脱退を提案。欧州委はこれによって競争上の問題が解消されるとして、その実行を条件に合併を承認した。