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2014/9/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

統計データによる差別の裏付けで最高裁が判断

この記事の要約

間接的な差別があったかどうかをめぐる裁判では、統計データを証拠として採用することができる――。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は18日の判決(8 AZR 753/13)でこの判断を踏襲しつつも、証拠となる統計データは適切 […]

間接的な差別があったかどうかをめぐる裁判では、統計データを証拠として採用することができる――。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は18日の判決(8 AZR 753/13)でこの判断を踏襲しつつも、証拠となる統計データは適切なものでなければならないとの見解を示した。

裁判は地方ラジオ局の求人広告に応募した女性が同局を相手取って起こしたもの。原告は2014年4月、フルタイム勤務の経理担当職員を求める同局の募集に応募した。提出した履歴書には結婚して子供がいることを明記していた。

5月初旬に不採用の通知を受けた。返送されてきた提出書類を見たところ、「7歳!」と子供の年齢が書き加えられていた。原告は、「就学児の母親であるがゆえにフルタイム勤務ができない、あるいは難しいと判断された」と考え、これが一般平等待遇法(AGG)で禁じられた女性差別に当たるとして、慰謝料請求訴訟を起こした。

被告ラジオ局は原告よりも若い既婚女性を採用。これについて裁判で、採用した女性は原告よりも高い資格を持っていたためだとして、差別はなかったとの立場を示した。

2審のハム州労働裁判所は原告の訴えを認め、慰謝料3,000ユーロの支払いを被告に命じた。差別を証明する根拠として同裁の裁判官は、フルタイム就労者に占める子持ち女性の割合が少ないことを示す小国勢調査のデータを採用した。

一方、最終審のBAGは2審判決を破棄し、裁判をハム州労裁に差し戻した。判決理由で裁判官は、ハム州労裁が採用した統計データは、被告が原告を差別したことを裏付ける証拠にならないとの判断を提示。差し戻し審ではラジオ局側による「7歳!」との書き込みが間接的な差別に当たらないかどうかを判断するよう指示した。ハム州労裁がこの書き込みを間接差別と判断すると、原告勝訴が確定する。