自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は10日ベルリンで、中国同業・第一汽車(FAW)との合弁事業を延長する契約に調印した。今回の調印は中国の李克強首相の訪独に合わせて行われたもので、式典には同首相とドイツのメルケル首相が臨席した。
両社は合弁会社・一汽大衆汽車(FAW-VW)を展開している。現在の合弁契約は2016年で失効するため、両社は更新交渉を進めてきた。今回の合意では契約を41年まで25年間、延長することを取り決めた。
VWはFAW-VWへの出資比率を現行の40%から49%に引き上げる方向で交渉を進めてきたものの、今回の契約では出資比率に関する取り決めを見送った。FAWが難色を示したためで、両社はこの点について協議を続けるとみられる。一汽大衆は収益力が高く、出資比率を引き上げればVWの利益が大きく膨らむ。
VWはこのほか、中国のもう1つの合弁先である上海汽車(SAIC)と共同で同国西部の新疆ウイグル自治区に性能試験場を設置することも取り決めた。両社の投資規模は合わせて約1億ユーロ。中国政府が推し進める西部大開発政策を受けた措置とみられる。両社はすでに同自治区の首府ウルムチで小規模な工場を運営している。