ドイツ人の美徳である「勤勉」「誠実」「実直」の価値観が近年、弱まっており、国際競争力の低下につながりかねない――。同国の経営者の多くがそんな危機感を持っていることが、財界系シンクタンクのIWドイツ経済研究所が実施したアンケート調査で分かった。調査結果を入手した『ヴェルト』紙が9日付で報じた。
IWはドイツ品質協会(DGQ)の委託を受けて経営者1,214人を対象にアンケートを実施した。それによると、これらの基本的な徳の後退が今後、企業の弱体化につながる恐れがあるとの回答は71%に達した。「責任感が低下している」も70%と多く、全体のおよそ3分の2は「完璧さを求める意識が弱まっている」と答えた。
DGQのユルゲン・ファールヴィヒ会長は、かつて「プロイセン的(軍国的)」と揶揄・批判された勤勉・誠実・実直の価値観はドイツの高い競争力の支柱となっていると指摘。これらの徳の弱まりはドイツ製品の強さの源泉である「品質」の悪化につながると警鐘を鳴らした。