ドイツ東部の中小、新興企業は将来性が高くても事業資金の調達が難しいもようだ。銀行は自己資本規制の強化を受けてこうした企業への融資を抑制。同地はベンチャーキャピタルの視野に入りにくいことが追い打ちをかける。事態の打開に向けてザクセン州の新興企業を支援するネットワーク「ハイテク・スタートバーン(滑走路の意)」はこのほど、内外の投資家をドレスデンに招いて2日間の説明会を行った。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が16日付で報じた。
ドイツ企業を対象とするベンチャーキャピタルの投資額は昨年6億7,000万ユーロに上った。東部の企業への投資額はそのうちわずか5,600万ユーロで、12分の1にとどまった。四半世紀前まで社会主義国家(東ドイツ)だった関係で、富裕層がほとんどいないことが響いている。
内外の投資家を招いたドレスデンの催しにはライフサイエンス、マイクロ・ナノテクノロジー、環境・エネルギー技術、素材、機械メーカーなど厳選された計40社が参加。ベンチャーキャピタルや資産家、エンジェル投資家、銀行関係者合わせて60人を前に事業を説明し、資金提供を要請した。
炭素繊維軽量部品メーカーのイースト-4D・カーボン・テクノロジーはそうした企業の1社。同社は従業員数が50人で、エアバスやボーイングなどの航空機メーカーに製品を供給している。開発・生産事業の拡大に向けて資金が必要だが、航空業界ではプロジェクトが利益を出すようになるまで7年を要するため、資金の提供者を模索している。今後3年間に必要な額は380万ユーロ。
バイオ企業ミエロ・セラピューティクスは来年開始する治験の資金を調達したい考えだ。同社が開発中の医薬品はがん化学療法に伴う脱毛、免疫力減退などの副作用を予防するもので、開発に成功すれば大きな需要が期待できる。ただ、市場投入は2020年になる見通しのため、資金面で長期的なサポートが必要という。