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2014/11/5

企業情報

ハイデルベルクセメント―「ホルシムとラファージュの事業を買収せず」―

この記事の要約

建材大手の独ハイデルベルクセメントは3日、競合ホルシムとラファージュが合併に伴い放出する事業の競売入札から撤退すると発表した。入札に参加する企業が多く買収提示額が全般的に押し上げられているうえ、ハイデルベルクセメントは英 […]

建材大手の独ハイデルベルクセメントは3日、競合ホルシムとラファージュが合併に伴い放出する事業の競売入札から撤退すると発表した。入札に参加する企業が多く買収提示額が全般的に押し上げられているうえ、ハイデルベルクセメントは英同業ハンソンの買収で債務が膨らみ経営破たんの寸前まで追い詰められた過去を持つため、市場は今回の方針を支持。株価は大きく上昇した。

セメント販売で世界1位のホルシムと2位ラファージュは4月、合併合意した。新会社「ラファージュホルシム」は売上高が約400億ユーロに上る巨大セメント会社となる。

ホルシムとラファージュは7月、欧州連合(EU)の欧州委員会から合併認可を受けるため、フランス、ドイツ、英国、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、セルビアの生産拠点を売却する方針を打ち出した。両社が10月28日の共同記者会見で明らかにしたところによると、欧州委に提出した申請書には、ホルスムがスロバキアに持つ生産拠点の売却を追加。その代わりに、売却の予定だったラファージュのオーストリア工場を保持する。

手放す予定の資産の総額は明示していないが、ラファージュのラフォン最高経営責任者(CEO)によると、両社の年間売上高の約12%に相当する規模になるという。

両社が売却する資産に対しては約60件の買収提案がる。ロイター通信によると、そのなかにはこれら資産の一括買収を申し出ているものもあり、買収提示額は40億~70億ユーロに膨らんでいる。

ハイデルベルクセメントは工場数カ所の取得にしか関心がないうえ、買収を強行すると債務が大幅に拡大するため、競売入札から撤退したもようだ。

2007年のハンソン買収では純債務が146億ユーロに膨らんだ。昨年末時点で75億ユーロまで圧縮したものの、投資適格級の格付け確保に必要な65億ユーロをなお上回っている。このため同社は北米と英国の建材事業を放出して債務をさらに引き下げる意向だ。これら事業の時価は10億~15億ユーロと推定されている。