ドイツ政府は5日の閣議で、トラック走行料金に関する法改正案を了承した。課金対象とする国道とトラックをともに増やすことで歳入を拡大し、道路整備財源に充てる意向だ。法案は連邦議会(下院)の決議を経て施行される。
ドイツの道路インフラは老朽化が進んでいる。財政再建のしわ寄せで修復費用を十分にねん出できないことが背景にある。このため国内16州の交通相は昨年10月、財源確保に向けてトラック走行料金(マウト)の適用対象を大幅に拡大することを決議。与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)も同年12月の政権協定で、現在はアウトバーン(高速道路)と一部の一般国道に限られているトラック走行料金の課金区間を拡大することを取り決めた。
今回の法案には、◇2015年7月1日からトラック走行料金の対象を4車線以上の国道、合わせて1,100キロメートルに適用する◇同年10月1日からはマウトの適用対象とするトラックを現在の総重量12トン車以上から同7.5トン車以上に引き下げる――ことが盛り込まれている。
走行1キロメートル当たりの料金は15年1月から引き下げられる。これによる収入の減少額は15年~17年の3年間で計4億6,000万ユーロに上るものの、課金対象となる国道とトラックを拡大することで、この間の収入は差し引きで8億7,500万ユーロ増える見通しだ。
トラック走行料金は05年に導入された。当初は課金対象となる道路がアウトバーン(総延長:計1万2,800キロ)に限られていたが、12年から一般国道の一部(計1,200キロ)にも適用されるようになった。料金収入は年およそ45億ユーロに上る。