2011年に導入された航空税は憲法(基本法)で保障された法の下の平等と職業の自由に抵触するとして西南ドイツのラインラント・ファルツ州が起こしていた違憲訴訟で連邦憲法裁判所(BVerfG)は5日、訴えを棄却する判決を下した。判決理由で裁判官は、国はエンジンを利用した交通手段への課税権を憲法で保障されており、正当な理由があれば例外的な措置も認められるなどとの判断を示した。
航空税は財政再建と環境保護強化の一環として11年1月1日付で導入された。対象となるのはドイツの空港を離陸する営業目的の民間旅客機で、トランジットやドイツ上空を通過する航空機、貨物機には適用されない。
ラインラント・ファルツ州にはフランクフルト・ハーン空港(ヘッセン州にあるフランクフルト国際空港とは別で、フランクフルト市から100キロ以上離れている)がある。格安航空大手のライアンエアは航空税導入を受けて同空港の発着数を大幅に削減。これに危機感を持った同州政府は違憲訴訟を起こしていた。
航空税は現在、国内と短距離線で乗客1人当たり7.5ユーロ、中距離線で23.43ユーロ、日本などの長距離線で42.18ユーロとなっている。同税の導入後、格安航空の発着空港、およびオランダなどとの国境に隣接する空港で利用客数が減少している。