独商工会議所連合会(DIHK)は11日発表した企業景気アンケート調査レポートのなかで、ドイツの今年の国内総生産(GDP)見通しを上方修正した。石油価格の急落やユーロ安が内需と輸出の追い風となっているためで、前年比で実質0.8%増とした従来予測を同1.3%増に引き上げた。政府が労働規制を強化していることに対しては経済の障害になると警戒感を示した。
DIHKは毎年3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回は12月中旬から1月中旬にかけて実施。2万7,000社強から回答を得た。業種別の内訳は製造が29%、建設が7%、流通が23%、サービスが41%。
同レポートによると、事業の現状を「良い」とする回答は前回調査(秋)の40%から41%へと上昇し、「悪い」(9%)との差は31ポイントから32ポイントに拡大した(下のグラフ参照)。製造業とサービス業で改善。建設は「良い」が「悪い」を34ポイント上回ったものの、前回(39ポイント)に比べると5ポイント悪化した。
今後の事業見通しを「良い」とする回答も前回の21%から22%へとやや増加。「悪い」は横ばいの15%にとどまった。事業見通しは製造業で大きく改善している。
今後1年間のリスク要因をたずねたところ、「エネルギー・原料コスト」との回答は前回の38%から27%へと大きく低下した。その一方で、「経済政策上の枠組み条件」は43%から45%へと上昇、「人件費」も38%から42%へと上がった。1月から法定最低賃金が導入されたほか、社会民主党(SPD)のナーレス労働相が労働環境規制を強化しようとしていることが反映されたもようだ。このほか、輸出型メーカーの間では為替相場への警戒感が高まっている。
輸出の見通しに関しては「増える」との回答(メーカーのみ)が横ばいの30%にとどまったものの、「減る」が15%から13%に減少したため、「増える」と「減る」の差は15ポイントから17ポイントに広がった。中間財、投資財メーカーで改善。消費財メーカーでは悪化した。
投資額を「増やす」との回答(全業界の企業が対象)は前回の25%から26%に上昇。「増やす」と「減らす」の差は8ポイントから9ポイントに拡大した。特に製造業で投資意欲が改善。サービス業でもやや高まった。流通業はやや低下で、建設は横ばいだった。
雇用拡大を計画する企業は前回の15%から17%に増えた。雇用縮小も同13%から14%に増加したものの、拡大と縮小の差は2ポイントから3ポイントに拡大した。製造業が全体をけん引している。
雇用縮小との回答は独東部地域で増えた。同地域は賃金水準が西部に比べ低いことから、最低賃金の導入を受けてこれまでの雇用水準を維持できない企業が飲食などのサービス業で増えているもようだ。