ドイツ政府は5月27日の閣議で、医療業務・サービスのデジタル化を狙った法案(Eヘルス法案)を承認した。同国では患者データを記録した電子健康保険カードが今年1月から全面導入されており、政府は同法案を施行することで、電子健康保険カードの可能性をフル活用できる体制を整える考えだ。
法案では患者データの安全な送受信方法を2016年末までに確定することを、電子健康保険カードの導入・発展に向けて設立された機関gematikに義務づけた。gematikは医師や病院、公的健康保険組合、薬局の頂点団体が出資する機関。同方法を決定できない状態が続いていることから、政府は期限を設定した。順守できない場合はgematikへの助成金を削減する。
法案ではまた、患者データの共有や送受信ができる前提を作り出すために、開業医と病院に対し電子カルテの作成を奨励。これに従う開業医と病院には16年から18年にかけて特別報酬を支給する。
さらに、複数の医療機関の医師が患者のレントゲン画像を共有しながらテレビ会議で診断を行ったり治療方針を決定する場合も特別報酬を支給する。
政府は病院数が少ない過疎地での医療を拡充したい考えで、法案にはそのカギを握る遠隔治療の報酬を引き上げることも盛り込んだ。