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2015/10/28

企業情報

フォルクスワーゲン―不正車両のEU販売を全面停止―

この記事の要約

フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループが不正ソフトウエアを搭載したディーゼル車の販売を欧州連合(EU)域内で全面停止したことが21日明らかになった。自動車専門紙『オートモビルボッヘ』が報じ同社が追認したもの […]

フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループが不正ソフトウエアを搭載したディーゼル車の販売を欧州連合(EU)域内で全面停止したことが21日明らかになった。自動車専門紙『オートモビルボッヘ』が報じ同社が追認したもので、すでにディーラーに引き渡した車両も対象となっている。

該当するのは欧州排ガス基準「ユーロ5」に対応したエンジン「EA189」を搭載した車両。現在販売する車両はほとんどがユーロ5よりも基準が厳しい「ユーロ6」に対応しているため、販売停止となった車両は少ないという。

EA189搭載車の販売はEUの一部加盟国ですでに停止していたが、全域に拡大した。VWの広報担当者は、独連邦陸運局(KBA)のリコール命令を踏まえて今回の販売停止を決定したことを明らかにした。リコール台数はドイツで240万台。EU28カ国では計850万台に上る。

VWのディーゼル車をめぐっては、EA189の後継エンジン「EA288」を搭載した車両にも不正ソフトが搭載されているとの観測が22日に浮上したが、これについては同日、EA288には不正ソフトが搭載されていないとの声明をVWが発表した。

VWでは違法なソフトを使ってディーゼル車の排ガス値を操作していたことが先月中旬に発覚した。該当する車両は従来、EA189搭載モデルとされてきたが、dpa通信は22日、EA288搭載車も不正ソフトを利用している可能性があると報じた。

VWはこの問題について当初、「現在調査中だ」と回答するにとどめていたが、同日夕になってEA288搭載車に問題がないことを明らかにした。

EA288は2012年に導入が始まったエンジンで、当初の2年間はユーロ5対応に限られ、14年から漸次、ユーロ6対応に切り替えられていった。不正ソフト搭載の疑惑が持たれたのはユーロ5対応のEA288。KBAはユーロ6対応のEA288については不正ソフトが搭載されていないと断定していたものの、ユーロ5対応EA288については搭載の可能性を排除していなかった。

VWは10月中旬に発表した主力ブランドVWの新製品戦略のなかで、欧州と北米市場向けのディーゼル車に環境負荷を軽減する選択触媒還元(SCR)システムと尿素水「アドブルー(AdBlue)」を、可能な限り早い時点で全面導入する方針を打ち出した。ただ、これらの環境技術はコストが高いため、VWは将来、欧米で「ポロ」などの小型ディーゼル車販売を中止するとの見方も出ている。