ミュンヘンを州都とするドイツ南部のバイエルン州で犯罪件数が昨年、前年に比べて28.7%減少したことが分かった。人口10万人当たりの件数は4,868件で、国内16州のなかで最も少ない。未発表の2017年警察犯罪統計(PKS)をもとに全国紙『ヴェルト』が報じた。
バイエルンで犯罪が大きく減少した背景には捜査の徹底、警察官のプレゼンスの強化、犯罪者に対する不寛容政策、国境地帯での違法な難民輸送の取り締り強化がある。
犯罪が少ない都市のランキング(人口20万人超が対象)でも同州は上位を独占。1位はミュンヘン、2位はアウグスブルク、3位はニュルンベルクが占めた。
ドイツ全体の昨年の犯罪件数は576万件で、前年を9.6%下回った。10万人当たりの件数が2番目に少なかった州はバーデン・ヴュルテンベルク(5,295件)。これにヘッセン(6,046件)、ラインラント・ファルツ(6,191件)が続いており、上位4州をすべて南部の州が占めたことになる。
犯罪件数が最も多いのはベリルンで、同1万4,588件に上った。2位と3位も都市州のハンブルク、ブレーメンが占めている。犯罪発生率が高くなりやすい都市州を除くと、ザクセン・アンハルトが最も多く、8,342件だった。(下のグラフ参照)
難民・不法滞在者による犯罪は全国で16万7,268件に上った。犯罪全体に占める割合は約3%で、人口比の同2%を上回る。
スリの分野では犯人に占める難民・不法滞在者の割合が31.4%に達した。侵入盗(同11.4%)、強盗(15.1%)、傷害(15.2%)、強姦・性的嫌がらせ(15.9%)でも割合が高い。
難民・不法滞在者は今回の統計から定義が変わったことから、昨年までのデータと正確な比較ができない。2009年から同一定義を用いているバイエルン州でみると、09年は5,506件にとどまっていたが、14年に1万3,203件へと急増。16年には3万6,027件へとさらに加速し、昨年も前年比11.3%増の4万109件に拡大した。16年の急増の背景には15年の難民大量流入がある。