欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2021/8/4

総合 - ドイツ経済ニュース

独経済2四半期ぶりプラス成長、コロナ規制緩和で第2四半期は1.5%に

この記事の要約

ドイツ連邦統計局が7月30日発表した2021年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)は物価・季節要因・営業日数調整後の実質で前期比1.5%増(速報値)となり、2四半期ぶりにプラス成長へと転じた。新型コロナウイルスの […]

ドイツ連邦統計局が7月30日発表した2021年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)は物価・季節要因・営業日数調整後の実質で前期比1.5%増(速報値)となり、2四半期ぶりにプラス成長へと転じた。新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に減り、感染防止のための規制が緩和されたことが大きい。個人消費(民間最終消費支出)と国家最終消費支出が全体を強く押し上げた。

同国では感染第3波対策として4月下旬に「緊急ブレーキ」という時限措置が導入され、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数が3日連続で100人を超えた地域は夜間外出が制限されたり、小売店やサービス事業者の店舗営業が一部の例外を除いて禁止された。国内のほとんどの地域が該当していた。

ワクチン接種の進展もあり、その後は新規感染者が急速に減少したことから、規制の緩和が各地で進んでいる。繁華街には人出が戻っており、レストランの6月のネット予約件数はコロナ禍前の19年6月を6%上回った。

統計局によると、6月末時点のGDPはコロナ禍前の水準を3.4%下回る水準まで回復した。連邦銀行(中銀)は最新の月報で、感染状況の大幅悪化が回避され、中間財の供給不足が徐々に緩和されていけば第3四半期(7~9月)中にコロナ禍前の水準に到達する可能性があるとの見方を示した。

ただ、現在は世界レベルで新たな感染の波が起きているうえ、原料や部品の不足が続いていることから、経済界は先行きを警戒している。独産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング専務理事は、今のところ順調な独・欧州経済が下半期に悪化する恐れがあると述べた。

統計局は今回、新たなデータをもとに2017年以降のGDP統計の見直しを実施した。この結果、多くの数値が改定されており、17年の成長率は2.9%から3.0%、18年は同1.3%から1.1%、19年は0.6%から1.1%、20年はマイナス5.1%からマイナス4.9%へと改められた。

四半期ベースでも修正が多く、21年第1四半期(1~3月)は従来の前期比マイナス1.8%からマイナス2.1%へと引き下げられた。