2011/1/5

コーヒーブレイク

ホドルコフスキー有罪で投資家の懸念高まる~ロシア

この記事の要約

ロシア最大の石油会社であったユコスのホドルコフスキー元社長ら2人が石油横領などの罪に問われていた裁判で、モスクワのハモフニキ裁判所は12月30日、同元社長とユコス親会社(当時)のレベジェフ元会長に対し、13年半の禁固刑を […]

ロシア最大の石油会社であったユコスのホドルコフスキー元社長ら2人が石油横領などの罪に問われていた裁判で、モスクワのハモフニキ裁判所は12月30日、同元社長とユコス親会社(当時)のレベジェフ元会長に対し、13年半の禁固刑を言い渡した。両氏はすでに2003年に脱税、横領などの罪で逮捕され、05年に8年の懲役刑判決を受けた。今年に刑期を終えるはずだったが、今回の判決により刑期は17年まで伸びることになった。

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今回の追起訴の背景には、来年の大統領選挙を前に、収監期限を延ばしたいプーチン首相の思惑があり、そもそも、最初の裁判も、プーチン大統領(当時)との対立姿勢を明確にしたホドルコフスキー氏を政治的に排除する目的で起こされたとみられている。

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今回の判決は事前の予想に沿ったものであったが、実際に有罪が宣告されたことで、近代国家の基礎の一つである「司法の独立」がロシアには存在しないとの認識を内外に示す形となった。国内の野党勢力はもちろん、国外からも失望の声があがっている。

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政治的な問題はもちろんだが、司法国家への疑念から、ロシア経済の成長が鈍るとの懸念も浮上している。政府要人との交流がある大手企業はともかく、中堅企業などは、政府の適正手続き(デュープロセス)が保障されない環境では投資に慎重にならざるを得ないからだ。司法の独立がどれほど重要であるかは、メドベージェフ大統領の経済顧問の一人が無罪判決を支持していたことにも現れている。

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ロシアはその市場規模や、設備更新需要の大きさなどから、企業の注目の的だ。ただ、ここ数年、金融資本の流出が続くなど、一概に好調とは言いがたく、ブラジル、中国、インドなど、他の新興諸国に遅れをとっている。2018年のサッカー世界選手権(W杯)開催が決まり、ロシア経済がこれから、という矢先のホドルコフスキー有罪判決。ロシアの将来にどれほどの影を落とすことになるのだろうか。

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