ロシアは1月1日、「東シベリア太平洋パイプライン(ESPO)」経由で中国への原油供給を開始した。同国はこれまで、コストと時間のかかる鉄道輸送で供給してきたが、ESPO開通で中国への原油輸出量を倍増する計画。アジアへの輸出を拡大し、欧州への輸出依存を減らす狙いがある。
\ESPOは東シベリア・イルクーツク州のタイシェトと極東のナホトカ近郊コジミノを結ぶ総延長4,794キロメートルのパイプライン。すでにタイシェトからアムール州のスコボロジノまで2,694キロの敷設は完了しており、2013年にはスコボロジノからコジミノまでの全線が完成する見通しだ。総工費は約250億米ドル。今回はスコボロジノと中国の大慶市を結ぶ2,757キロの支線が開通し、中国への供給が始まった。
\ロシアの国営石油輸送会社トランスネフチによると、ロシアは1月にESPO経由で130万トンの原油を中国に供給する予定。年間では1,500万トン(1日30万バーレル)を見込んでいる。同供給量はこれまでの供給量の2倍、中国の2009年の原油消費量の4%に相当するという。
\ロシアの歳入の約45%は原油の輸出。輸出の大半は欧州向けが占めているが、今後はESPO経由で中国や日本、韓国への輸出を拡大する方針だ。経済の大幅成長でエネルギー需要が拡大している中国もロシアからの原油輸入に積極的で、中国開発銀行はESPOの中国向け支線の敷設に関連し、トランスネフチと露石油大手のロスネフチに総額250億ドルを融資した。ただ、中国はロシアだけに依存するリスクを避けるため、カザフスタンやトルクメニスタンなど中央アジアからの輸出も進めている。
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