被用者がタイムカードを偽って記入した場合、雇用主は即時解雇を通告できる。では、過失の場合もこの原則が適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争でラインラント・ファルツ州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:10 Sa 270/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは博物館勤務の職員。同職員は2011年8月、実際に勤務していない時間を勤務した時間としてタイムカードに何度か記入した。なかには出勤日でなかったにもかかわらず8時30分から14時30分までの6時間、勤務したと記入した日もあった。
\この事実に気付いた雇用主は即時解雇を通告。原告はこれを不服として提訴した。
\第1審のコブレンツ労働裁判所は原告の訴えを棄却、第2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、タイムカードに記入された出勤・退社時間が正しいことを雇用主が信用できることが雇用関係を続けることの前提だと指摘。原告は仮にうっかり誤記したのだとしても、それによって雇用主との信頼関係を著しく損なっており、即時解雇はやむを得ないとの判断を示した。原告の誤記については過失ではなく、少なくとも未必の故意だったとしている。最高裁への上告は認めなかった。
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