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2021/2/1

ドイツ経済ニュース速報

VWが車載電池リサイクルを開始

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は1月29日、車載電池リサイクルのパイロット設備をドイツ北部のザルツギターで稼働させたと発表した。電動車の本格普及と廃車の増加をにらんだ取り組みで、廃電池から材料を効率的に取り出す技術を確立する狙いだ。使い古しの車載電池が早ければ2020年代末にも大量に発生すると予想している。 車載電池にはリチウム、コバルトなどの貴重な資源が使用されている。これらの原料は製造に際して大量の二酸化炭素(CO2)を排出するうえ、電動車の販売が今後、大幅に増えると、価格が高騰する恐れがあることから、廃電池から原料を再獲得することは大きな課題となっている。 VWは廃電池中のリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを、無限に循環利用するクローズドループ方式でリサイクルする。アルミニウム、銅、プラスチックについても長期的に90%以上の割合で再利用することを目指す。 今回稼働させたパイロット設備では年に最大3,600セットの電池システムをリサイクルする。重量に換算すると約1,500トン。恒常的に改良を続け、大量のリサイクルを行えるようにする考えだ。 リサイクルの手順は◇電気を完全に抜いたうえで電池システムを解体する◇個々の部材を粉砕・顆粒化して乾燥し、アルミニウムと銅、ブラックパウダーを獲得する――というもの。ブラックパウダーにはリチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、黒鉛が含まれていることから、水と化学物質で湿式冶金処理を施し、個々の材料を分離する。