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2025/6/11

ドイツ経済ニュース速報

小売大手リドルがコンテナ船5隻を発注

独ディスカウントストア大手リドルがコンテナ船5隻の建造を中国造船大手の広州 広船国際(GSI)に委託した。地政学リスクや米中の通商紛争に柔軟に対応できる ようにする狙い。同社などへの取材をもとに『ハンデルスブラット』紙が報じた。 リドルはアジアから安定的に商品を調達する目的で2022年に海運子会社テールウイ ンドを立ち上げた。現在は積載能力1,200〜6,800TEU(20フィートコンテナ換算) のチャーター船と中古船を計9隻、運行している。GSIに今回、同8,400TEUの船舶5 隻を発注したことから、将来は輸送能力が約8万TEUとなり、世界の海運業界でトッ プ30入りを果たす。 テールウインドはこれまで、中国とバングラデシュから欧州に貨物を輸送してき た。今後はさらにマレーシア、ベトナムも加える意向だ。 背景には米トランプ政権の高関税政策を受けてノンフード製品の生産拠点を中国か ら他の国に移す動きが出ていることがある。中国のオンラインファストファッショ ン小売業者シーイン(Shein)は、自国から生産移管する取引先メーカーに資金面 や最低発注量などの面で優遇する措置を開始したとされる。リドルはこうした動向 を踏まえ、調達先国を柔軟に変更できるようにする意向だ。 アジアと欧州を結ぶ重要な海路に当たる紅海ではイエメンの武装勢力フーシ派によ る船舶攻撃が23年秋に始まった。この結果、輸送コストの高騰など問題が発生した ものの、リドルは独自のコンテナ船を持つことから影響が比較的小さい。 外部企業の貨物も引き受けている。その効果で、欧州からアジアへの運航で積載率 が改善されているという。