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2025/8/18

ドイツ経済ニュース速報

商用車のダイムラー、燃料電池トラックの量産延期

商用車大手の独ダイムラー・トラックは水素燃料電池トラックの本格市場投入を先送 りする意向だ。水素価格の高止まりや燃料補給インフラ不足を踏まえたもので、量産 開始時期を従来計画の2020年代末から30年代初頭に延期する。アンドレアス・ゴル バッハ取締役(開発担当)が投資家説明会で行った発言などをもとに『フランクフル ター・アルゲマイネ』紙が報じた。 水素価格は現在、1キログラム当たり10ユーロを超える。ダイムラーの広報担当者に よると、5〜6ユーロまで下がらないと水素燃料電池トラックは価格競争力を確保でき ないという。 コンサルティング会社ルートヴィヒベルコフ・ジステームテヒニクによると、世界の 水素補給スタンド数は現在1,160カ所で、そのうち748カ所は中国、韓国、日本を中心 とするアジアに分布。欧州は294カ所にとどまる。燃料補給網は整備が不十分なた め、運送会社などが燃料電池トラックを大量調達できる状況にはない。 ダイムラーはスウェーデン同業ボルボ・グループとの折半出資合弁セルセントリック で燃料電池を生産する計画。現時点で30年の量産開始を見込んでいる。