ヨーロッパの最新経済・産業ニュース・企業情報を
欧州経済の中心地ドイツからご提供

2026/1/29

ドイツ経済ニュース速報

SAPのクラウド事業に影、CCBが最低目標に届かず

IT大手の独SAPは29日、2025年12月決算を発表した。売り上げと利益はともに大きく 伸びたものの、経営指標として同社が重視するカレント・クラウド・バックログ (CCB)は為替調整ベースで前期比25%増の210億5,200万ユーロとなり、最低目標の同 26%増に届かなかった。大規模な自社株買いを予告したにもかかわらず、株価は急落 した。 CCBは既存契約から今後12カ月以内に見込まれるクラウドの売り上げ。ユーザー企業 がソフトウエアを購入する従来の方式からSaaS(サービスとしてのソフトウエア)な どクラウド上で借り受ける方式への利用形態の変化を受けて、SAPはライセンス販売 を中心とする事業モデルをクラウド中心に改めた。現在は売り上げの半分以上をクラ ウドが占めることから、CCBは同社の今後の業績見通しを判断するうえで重要だ。 SAPは時価総額がドイツで最も大きい企業だが、株価は昨年2月をピークに低下傾向に ある。予想が難しい米トランプ大統領の関税政策などを背景に、IT予算を削減したり プロジェクトを先送りする動きが顧客企業に広がっているためだ。急速に発展する人 工知能(IT)が古典的なアプリケーションソフトの機能を代行するようになるとの懸 念も同社にとってマイナス材料となっている。 こうした事情を背景に市場ではIT銘柄の選別が進んでおり、SaaS企業の株価は世界的 に軟調だ。SAPのCCBが目標割れとなったことから、株価は敏感に反応した。 同社の25年12月期の売上高は368億ユーロで、前期を8%上回った。クラウドが23%増 の210億2,300億ユーロとけん引。その大部分を占めるSaaSは25%増の206億7,800万 ユーロに拡大した。営業利益は28%増の104億1,900万ユーロ、税引き後利益は36%増 の71億7,600万ユーロだった。